難分解性のプラスチックによる環境汚染が、新しく国際的に深刻な問題となっている。国連環境計画(UNEP)は、「プラスチック汚染は環境、社会、経済、健康に深刻な影響を及ぼす世界的な問題であると報告している。毎年、1,900万トンから2,300万トンのプラスチック廃棄物が水生生態系に入り込み、生息地の変化を引き起こし、生態系の気候変動への適応能力を低下させている」と警告し、国際法的拘束力を持つ規制を提案している。
大量生産されるプラスチックや、最近注目を集めている超難分解性のPFAS(ペルフルオロアルキル化物質、例えば炭素6個のPFHxA, 8個のPFOA, PFOSなど)のような、環境で分解されない安定な資材が、逆に人間生活の脅威となっており、PFASについては米国環境保護庁(US-EPA)で広範なリスク評価がなされ、総合リスク情報システム(IRIS)の形で報告されている。
こうした状況で、代替品として登場しつつあるのが生分解性プラスチック(bioplastic)である。このようなプラスチック類を生分解する微生物群(細菌、真菌)に関するレビューがある。また酸素に関しては、嫌気的条件と比較した場合、バイオプラスチックの生分解には、一般的に好気性条件(酸素の存在)の方が有利である、これは 「クチナーゼやエステラーゼのような酵素の多くは酸素の存在下で最適に機能するからである」と述べられている。
生分解性プラスチックは微生物によって水と二酸化炭素に分解される素材であり、生ごみの堆肥化用の袋やスプーン、ストローなどのカトラリー(食卓用のナイフ、フォーク、スプーン等の総称)、包装材料、農業用フィルム、医療用品、玩具、電気製品、繊維製品等として、現在大手メーカーが開発を進めている。従って、今後、生ごみの堆肥化事業を行うに当たり、多種類のまた多量の生分解性プラスチック類が原料として入ってくることが予想される。
こうした理由で、代表的なバイオプラスチックと今後生産される可能性のあるバイオプラスチックについて調べてみました。